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       古書・古本 あんふぃに メールマガジン
          2004/8/1 No.0 (創刊準備号)
        http://www.g-infini.com/kosyo.html
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【新着情報】
 *ここでは開店時に目録に載せる予定の中から薔薇十字社の本を一
部ご紹介します。薔薇十字社本は、1970年代の書物についての記憶
の、重要なある部分を確実に占めています。

・充ち足りた死者たち(1972)
シュルレアリスムの女流作家ジョイス・マンスールの小説。本書は
アンドレ・ブルトンに捧げられている。薔薇十字社の本は装丁も見
事なものが多いが、本書は、その中でも特に意匠を凝らした一冊。
装丁は野中ユリ。透明なカバーはパラフィンで保護されており痛み
は少ない。しかし、背や天は少し日焼けしている。澁澤龍彦の推薦
文入りの栞(短冊状のもの)が付いています。

・大坪砂男全集(1972)
「凝りに凝った文体を駆使し「天狗」以下数々の傑作を遺して逝っ
た戦後推理小説界の鬼才、そのポオ、チェスタトンに近接する小説
世界の全貌、いま展かれる!」(1巻の帯より)
編集は澁澤龍彦と都筑道夫。解説は1巻がが澁澤龍彦、2巻が都筑
道夫。月報執筆者は1巻が和田周、谷崎終平、2巻が中井英夫、松
山俊太郎、和田徳子。2巻月報には「天狗縁起」と題された大坪砂
男の小文が掲載されている。
本書は赤い函の角が擦れて色が落ちているものが多い。当書店の在
庫も剥げているところがあり、全体にやつれている感じです。また、
2巻の背の角が少し潰れています。しかし、帯は2冊とも残ってい
ます。

・アンドロギュノスの裔(1970)
27歳で逝った作家渡辺温の作品集。小説・シナリオ・エッセイな
ど、全作品を収める。巻末に谷崎潤一郎、横溝正史らの文章あり。
薔薇十字社本の中で、もっとも古書価が高いもののひとつ。函がパ
ラフィンで包まれていたため帯も痛みが無い。本体も元パラが残っ
ており、状態が良い。

・黄金遁走曲(1973)
久生十蘭短編集。「生霊」「花束町一番地」「刺客」「心理の谷」
など19作品を収める。解説は塚本邦雄。本体に貼り込みのパラフ
ィン紙はそのまま残っています。帯付き。パラフィンがかかってい
るためよく分かりませんが、背が少し焼けているかもしれません。

【在庫の中から】
・露伴全集 全44冊 (1978-79 岩波書店)
日焼けはほとんど無く、角の潰れ等の痛みは無く、そして、元パラ
が全巻残っています。おそらく、北向きの部屋のガラス戸付き書棚
で大切に保管されてきたものでしょう。これだけ状態の良いものは
少ないと思います。
78年版が出る前、旧版全集は私の記憶では40万円前後の古書価が
付いていたはずです。現在の古書価はきわめて入手しやすいレベル
にあります。
以前「連環記」を読み始めたとき、とても読みづらく数ページ進む
にもずいぶん時間がかかりましたが、徐々に小説世界に引きずり込
まれ、結果、大いに楽しませてもらいました。最初は我慢が肝心の
ようです。

【雑記】
・帯について
書物の「帯」についての考えは、こだわらない人もいれば、少しく
らい高くなっても帯付きを求める人もおり、大きく異なるようです。
古書店あんふぃにとしての、この件に対するスタンスは? はっき
りいって、私は「帯」にこだわります。そこに書かれた推薦文や紹
介の文章、そして帯紙の色、その色と本体とのバランスなど、帯も
書物の一部となっています。元パラ以上に大きな価値を帯は持って
いると思う次第です。

たとえば、高柳重信句集「日本海軍」。この帯には、詩人の吉岡実
の文章が載っている。推測ですが、この文章はこの句集のために書
かかれたもののようです。ということは、あの、日本の現代詩を代
表する吉岡実の文章がこの帯でしか読めないのです。これはもう、
こだわります。

それから、「カザノヴァ回想録」(1968年の6巻本)。これは厳密
には帯ではなく、函のカバーに印刷された帯なのですが、この「帯」
の推薦文執筆者の顔ぶれ―
川端康成、吉行淳之介、円地文子、山内義雄、石川淳、澁澤龍彦、
丹羽文雄、栗田勇、埴谷雄高、なだいなだ、丸谷才一、開高健。
どうです。そして、いずれもこの回想録出版に寄せた文章なのです。
「カザノヴァ回想録」は、その後12巻本になり、そして今は河出
文庫に収められましたが、この推薦文と古沢岩美の挿絵だけでも、
6巻本は捨てがたいと感じます。
余談になりますが、河出文庫版は、挿絵やカバーデザインや帯の宣
伝文が、文学的香気漂う6巻本とはまったく異なるもので、おおい
に戸惑い、そして幻滅しました。

【編集後記】
初めてのメルマガ、ただ自分の興味の赴くままに書いているが、読
者はいるのかと不安になったり。でも、書きたい事を書くのが一番
と、開き直ってみたり。
こうした分野の書物を求める人は少なくなっているのかもしれません
が、無くなることは絶対にないでしょう。そうした方々に貴重な本を
手渡して行く社会的な使命があると考えます。なんだか大上段に
構えてしまいましたが、根っこの部分では自分自身の感覚に従い
気ままに細く長く行こうかと思っています。何よりも、持続させることが
大事であると。

感想やご意見をいただけると嬉しいです。

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